『かぞくになりました』
Aさん(養子縁組里親)
家の中に響きわたる子どもたちの声、元気に成長していく姿は、私たち夫婦の生きていく支えです。私たちは8年間不妊治療をしてきました。心身にかかる負担は大きく、卵子提供を受けるよう勧められたことで、長かった治療にピリオドを打つことができました。
自身で子どもを授かることは叶わなかったけど、子どもを育てたい、この手で抱きたいという想いは日々募り、何か手立てはないかと調べていく過程で“特別養子縁組制度”というものがあることを知りました。里親相談会や子ども相談所を通して養子里親の資格をとり、長男を生後2ヵ月で次男を生後4ヵ月で迎え、我が家は4人家族となりました。
初めて長男をこの手で抱いたとき、この小さな命をなんとしても育てていく決意と、私たち夫婦にリレーしてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。今では長男は小学生、次男は幼稚園児となり慌しくはちゃめちゃになりながらも二人育児を楽しんでいます。
これから、子どもたちには自らの生い立ちを知る真実告知が待っています。これは生育歴の連続性がアイデンティティ(自己同一性)形成に重要なため、子どもの発達段階や理解度に応じて何度も行い、長男はすでに自らの生い立ちを理解しています。将来、子どもたちが真実告知をどのように受け止め生きていくかは、まだ想像がつきません。それでも私たちは父親で母親であり、なんら揺るぐことのない家族であるメッセージを今日も明日もずっと送っていきます。なぜなら、あなたたちを抱いた瞬間からお父さんお母さんだから。