『Sちゃんとの出会い』

Iさん(養育里親)

養育里親としてSちゃんが、我が家に来てから三年半が過ぎました。登録をしてすぐにSちゃんとの出会いがあり、何度か乳児院に面会に行きました。
「バイ バイ また来るからネ。」Sちゃんにとっては、初めての面会の人、それなのに、小さな手を振って嬉しそうにしてくれました。その光景に、乳児院の先生が涙を流されたのを、今でもはっきりと、私の記憶に残っています。
このSちゃんが私たちの家に来たら夫婦で大事に育てようと思いました。一か月が過ぎ、我が家にSちゃんが来ました。「元気でね。」私に抱かれたSちゃんは、乳児院の先生に手を振りお別れをしました。二~三日間は、びっくりするほどおとなしくおりこうでした。でも、それは音楽でたとえるなら、前奏のような…。
日がたつにつれ、白い壁には落書きがあり、スーパーなど人の多い所に連れて行くと大きな声で泣いたり、家の中で私の姿が見えないと大声で「バーバーどこ行ったの?」ご近所の人が、見に来てくれるような事もありました。それでも、年月が経つと、少しずつ慣れてきたようで、今では、「お買い物行って来るね、行く?」「ひーばーばと、お留守番している。」と、言う時もあります。
日中は、保育園に行き、色々な経験や体験、又、お友達と遊んだりケンカをしたりしながら過ごしています。保育園から帰ってきたら長女夫婦が近くに住んでいるので、孫たちと楽しそうに遊んでいます。私自身五人の子どもを育て、又、養育里親の前には、他市の一時預かりの子ども達を30人ほどお世話してきたので、それなりの経験があるつもりですが、それでも子ども達は、私の想像以上の事をしてくれる事もあり、体力を奪われる事もあります。しかし、子ども達の寝顔を見ていると「明日も頑張るぞー。」明日への活力になります。何よりも私たちの所に来てくれたSちゃんに感謝です。有難う。

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